【2024】CTOのキャリアパスとは?役割・必要なスキルをわかりやすく解説
「これからどのようなキャリアパスを設定し、どのように技術を習得していけば、CTOへの道が開けてくるのかよくわからない」といった悩みを持つエンジニアの方がいることでしょう。
今回は、CTOの役割やCTOに期待されること、CTOの年収レベルなどについて解説します。また、実際のキャリアパスのイメージを沸かせるためにCTOになるためのキャリアパスの一例を描いています。CTOに興味があり、チャレンジしたいと考える読者の皆様の一助となれば幸いです。
CTOとは
CTO(Chief
Technology Officer)とは、最高技術責任者のことを指します。技術部門を統括する責任者で、技術的に豊富な経験と実績を有し、会社において技術的な方針と共に技術開発の方針を決定する役割を担います。
会社によっては、役員の場合もあります。会社における技術方針により、成長路線に乗ることができるか、もしくは技術的に他社に先行を許してしまうかの鍵を握ることになる可能性があるため、非常に大切な役割といえます。
CTOの役割
CTOの担う役割は、技術戦略の策定から開発予算の確保や調整に至るまで非常に多様です。続いては、CTOの主な役割について解説します。
- 技術戦略の策定
- エンジニアの確保と教育
- 開発プロジェクトの統括、推進
- 開発予算の確保と調整
貴社にてCTOに期待したい役割に関してお困りのことなどがあれば、当社グロースウェルは、これまでの知見を通してお客様をサポートできます。まずは、お気軽に現状の課題の共有からお話をさせて頂ければと思います。
技術戦略の策定
CTOは会社の経営戦略に基づき、これを実現するための技術的な方針を策定し、この方針に基づき技術戦略を立案します。
たとえば、特定の事業分野において各社がしのぎを削り、新製品を投入し市場における売り上げを伸ばしていこうとする中で、当該分野において売上を2倍にする事業計画を立てたとします。これを実現するには、製品群をこれまで以上に強化し、市場に投入していくことが必須となります。そのためには、新たな製品に対して、新たに開発した技術を活用した新機能を搭載して商品力をアップさせ、これまで以上の製品群を投入することが必要です。
CTOはこのような新技術の開発や製品開発の方向性や方針を決定し、そのための体制を構築して組織を運営していく役割を担います。
エンジニアの確保と教育
技術開発および製品開発戦略に基づいて開発を進めていくためには、体制の構築とその強化が必要となります。
可能な限り優秀な新入社員を採用して、エンジニアとして活躍できるよう会社で用意した育成計画に基づき教育をしていきます。職種にもよりますが、新入社員からエンジニアに育てるには、一般的に最低でも3年から5年程度かかります。
その期間に応じて、会社としての投資費用は大きくなります。したがって、即戦力が必要な場合には、他の方法として中途採用でエンジニアを確保する方法をとることもあります。
すでにエンジニアとして経験と実績のある優秀なエンジニアを獲得できれば、すぐに成果を期待することができ、新入社員を採用する場合と比較して、必要な投資も抑えることができるメリットがあります。
このようにエンジニアを確保し、開発体制を構築し強化していくこともCTOの役割です。
開発プロジェクトの統括、推進
CTOは、構築した技術開発体制により各種開発プロジェクトを立ち上げ、技術戦略に基づき開発における最高責任者の立場でサービスや製品の開発を統括すると共に、推進する役割を担います。
開発プロジェクトは1つのみとは限らず、複数の開発プロジェクトが同時に進行するケースもあります。このような場合には、それぞれの開発プロジェクトにプロジェクトマネージャーを置き、CTOが全プロジェクトマネージャーを統括することで各プロジェクトを同時に推進および管理します。
開発予算の確保と調整
開発体制を構築するためのエンジニアの確保や、開発環境を構築するために各種開発ツールやシステムを準備する必要があります。
そのためには、予算の確保が必須です。この予算の確保もCTOの大切な役割の1つです。
会社の経営層や経理部門と交渉し、新技術の開発や新製品の開発のために、予算の必要性を説明して開発費用を獲得します。
CTOに必要とされること
続いては、CTOに必要とされる主な能力について解説します。
- 知識・スキル
- 豊富な経験と実績
- コミュニケーション能力
- 交渉力
- リーダーシップ
知識・スキル
CTOは、会社の技術的な方針を決定する役割を担います。技術的な方針決定は、会社の浮沈にかかわる重要な戦略です。
この役割を担うためには、専門技術分野における深い知見と今後の方向性を予測する洞察力が要求されます。また、エンジニアを教育すると共に技術者の集団をまとめ、組織として力を発揮していけるようにするチームマネジメント力が求められます。
豊富な経験と実績
CTOとして組織を統括するようになる過程において、数々の開発経験や実績を蓄積してきたはずです。
たとえば、製品開発において、新技術開発によって生み出した新しい機能を搭載した製品の市場導入の成功により製品をヒットさせ、売上増と共に会社のブランドイメージアップに貢献できたような成功経験があるのではないでしょうか?他方で、製品開発がスケジュール通りに発売できず、そのために商機を逃し失敗して苦い経験をしたこともあることでしょう。
このような成功体験や失敗経験から導き出された数多くの教訓が、CTOとして会社が進むべき技術の方向性や商品戦略を策定するための貴重な知見となっているはずです。
コミュニケーション能力
社内外の関係者とコミュニケーションを取っていくことは、今後の技術の方向性や新たな技術開発に関するヒントなどを含め、貴重な情報を得ることができる可能性があります。
そのため、高いコミュニケーション力を持ち、さまざまな人たちとのつながりを持ち続けられるよう間口を広げることが必要です。
交渉力
CTOには交渉力も求められます。
たとえば、新製品開発を進めるケースを考えてみます。新製品の開発を進めるには、それなりの金額の投資が必要となることが少なくありません。また、目標とするスケジュールで製品を発売するには、開発体制の強化が必要となるケースがあります。
現状の体制では不十分であることが判明した場合、中途採用でエンジニアを増強したり、部分的に外部に委託したりすることにより、体制を強化する必要があります。そのためには予算の確保が必要になります。
また、新しい製品開発のためのツールやシステムの導入が必要となる場合があります。これらを準備するためにも予算の確保が必要です。
これらの予算を獲得するには、経理部門や経営層など予算を管理する部門等と交渉し、予算を勝ち取る交渉力が求められます。予算獲得の必要性をこれらの関係者に説明し、「確かに予算の確保が必要」であることを理解してもらうという力です。
リーダーシップ
新製品や新サービスを企画しこれを開発する場合、チームのメンバーが皆同じ方を向き、納得の上で開発を進めることによって、はじめて効率的で効果的な開発につながります。
ところが、開発を進めていく中で課題に直面することも往々にしてあります。そんなときに、CTOは開発の最高責任者として先頭に立ち、チームを先導し速やかに課題解決を行うリーダーシップが求められます。
製品開発中における製品テストを例に解説します。製品開発におけるプロセスの1つとして、ユーザに対して製品の品質を保証するために高温、低温、常温などの各種環境条件下で長時間、稼働させて安定動作を確認する「ランニング試験」を行います。
不幸にして、稼働試験中に動作が停止してしまったり、ハングアップしたなどの異常状態に陥ってしまったりした場合、早期に原因を究明して対策しないと製品の出荷が遅れてしまい商機を逸してしまうことにもなりかねません。
このような場合、CTOは対策チームを結成するために、発生した現象に応じて対応リーダーを指名します。指名されたリーダーは対策チームメンバーを指名してチームを作ります。その上でリーダーはメンバーを集めて協議を行い、発生した事象から考えられる想定原因をリストアップすると共に、想定原因に基づく対策方法を考案し、製品に対策を順次盛り込んでいきます。
いずれかの対策方法で対策の有効性が確認できたら、その対策に決定します。この流れでトラブルシューティングを効率的に行います。
この中において、問題発生への対応のトリガーとなるのはCTOのリーダーシップ力を伴う行動です。
CTOへのキャリアパスを描いてみる
就職または転職により、エンジニアとしてキャリアをスタートした人がCTOになるまでのキャリアパスの例を挙げてみます。
エンジニアとしてキャリアをスタートする際は、10年以上先をしっかりと見据えて目標を設定するとよいでしょう。既にエンジニアとして活躍している人は、以下のキャリアパスを自身の立場で内容を修正して、作り直してみることをおすすめします。
エンジニアとしてのキャリアをスタートする以上、高い志と目標を設定し前向きな姿勢で取り組んでいくことが大切です。
入社~3年程度
入社から3年以内では、プログラミング言語を身につけ、とにかくプログラム開発ができるようになることを目指します。そのためには、先輩の指導を仰ぎながら以下の作業を繰り返し行うことにより、業務のスキルアップを目指します。
- 担当範囲の開発計画を作成し、目標を持って開発が進められる準備を整える。
- 設計書等の各種ドキュメントをしっかりと作成できるようにする。
- 担当範囲のプログラミング、デバッグ、テストをしっかりとできるようにする。
4年~6年目程度
入社後4年~6年目では、先輩に頼ることなく、一人前のプログラマーとして一人立ちすることを目指します。そのためには、以下の作業を先輩の力を借りることなく自律的に繰り返し行い、さらにエンジニアとしてのスキルアップを目指します。
- 担当範囲の開発計画を作成し、目標を持って開発を進められる準備を整える。
- 自身の担当範囲において発生した問題点は着実に解決し開発作業をしっかり完了させる。
- チーム内で発生した問題解決の取り組みに対し、積極的に参加しチームの目標達成に貢献する。
7年~9年目程度
入社後7年~9年目では、リーダーもしくはプログラマの中でチームを先導する立場となり、後輩を指導できるようになることを目指します。そのためには、チームとしての担当範囲に関して、以下の作業を通してスキルアップを目指します。
- チームの担当範囲における開発を推進すると共に、開発管理を行う。
- チームの担当範囲における開発計画を作成し、目標を持って開発を進められる準備を整える。
- 自身の担当範囲において発生した問題点は着実に解決し開発作業をしっかり完了させる。
- チーム内で発生した問題の解決を主導し、効率的に解決に結びつけるよう努め、チームの目標達成につなげる。
10年~12年目程度
入社後10年~12年目では、プロジェクトのプログラミング開発を統括できるレベルになることを目指します。そのためには、プロジェクトの開発を推進、管理するために、次の作業を通してスキルアップを目指します。
- プロジェクト全体の開発を推進すると共に、開発管理を行う。
- プロジェクト全体の開発計画を作成し、目標を持って開発を進められる準備を整える。
13年~15年目程度
入社後13年~15年目では、複数のプロジェクトを推進できるプロジェクトマネージャーになることを目指します。そのためには、以下の作業を通してスキルアップを目指します。
- プロジェクト毎にプロジェクトマネージャーを指名し、このプロジェクトマネージャーに各プロジェクトの推進を一任します。自身はプロジェクトマネージャーからの報告を受け、必要な指示や対応すべきことをプロジェクトマネージャーに伝えます。
- 以上をもって、複数のプロジェクトを同時に推進、管理します。
16年目~
入社後16年目以降は、技術部門におけるトップとして信頼されるようになり、会社の技術方針を決定する立場になることを目指します。つまり、CTOとして会社に貢献できる立場を目指しましょう。
ただし、会社においては新たな事業を開始したり、既存の事業を止めたりするなどの判断がなされることがあります。このような場合には、新たな技術を習得し直す必要があるなど、決して平坦な道のりではないでしょう。
そのため、エンジニアとして10年後にどうありたいかを常に描きながら前に進んでいくことが大切です。必ずしもCTOの座を確約できるわけではありませんが、このように常に前を向き将来を描きながら進んでいくことで、ありたい姿に近づけるはずです。
この例では、3年を1つの区切りとしてマイルストーンを置いていますが、ご自身の会社の状況や自身の立場に合わせて、2~5年程度の範囲で妥当な数字に置き換えてみてください。
CTOの年収レベル
政府統計のポータルサイト(e-Stat)によると、令和5年度(2023年度)においては、技術部長クラスの平均年収が850万円という数字が示されています。CTOは技術部長のさらに上の立場であるため、年収1,000万円は超えていると考えられます。
CTOのメンタリングはグロースウェルにお問い合わせください
ここまで解説したように、CTOに求められる役割に対する理解を踏まえ、会社におけるCTOの役割の重要性を認識頂けたのではないでしょうか?
貴社において、CTOが本来の役割を発揮できておらず、期待される成果も出せていない場合は、会社にとって大きなマイナス要因となりえます。そのため、一刻も早い対応が求められます。
そんな可能性を感じていらっしゃる場合には、ぜひお気軽に当社グロースウェルにご相談ください。グロースウェルは、皆様が抱える各種の事業課題に対して、これまでの数々の支援実績を踏まえ、メンタリングを通して支援しています。最後に、当社グロースウェルの提供するサービスについて紹介します。
- スポットCTO事業
- CTOのメンター事業
- CTO人材紹介事業
- CTO育成支援
スポットCTO事業
スポットCTO事業では、経営陣、システム・技術組織、プロダクト組織の問題解決をご支援します。多くの会社をご支援しているからこそ、これまでの多様な知見や経験を最大限に生かし、有益な価値を提供することができます。
対象は、経営者、投資家、事業責任者、CTO、プロダクトオーナー、MGR等です。一例を挙げると、次の支援実績があります。
- アドバイザリー(経営顧問、技術顧問)
- メンター(対象:CEO、CTO、CXO、VPoE、EM、PM)
- 組織問題解決
- 技術戦略支援
- プロダクト組織設計
- エンジニア採用支援
- エンジニア評価制度支援
- エンジニアスキルアップ支援
- CEO、CTO、VPoE、EM、PM育成支援
- プレ要件定義支援
- システム・アプリ開発ベンダー選定およびコントロール
CTOのメンター事業
事業は少数の意思決定者、あるいは一人の経営者によって舵取りが行われることが一般的です。事業を効率良くスピーディーに展開する上では効果的である反面、客観性を担保することが難しく、場合によってはリスクの大きな選択を選んでしまう可能性もあります。
事業において、このようなリスクを軽減する上では、客観的な立場から意見ができる人物の言動を模倣することが有効です。いわゆる「メンター」と呼ばれる人物と出会うことができれば、確実な成功や成長をものにしやすくなります。
当社グロースウェルでは、自身の事業や人生を好転させることのできる重要な案内人となるメンターの探し方や、メンターを最大限活用してより確実な成功を収めるための支援を行っています。
CTO人材紹介事業
当社グロースウェルは、CTOおよびエンジニア組織責任者専門の人材紹介サービスとして「GWキャリアエージェント」を行っています。
エンジニアの上級管理職経験者による有料職業人材紹介を致します。
今までの総合人材サービスではエージェント側が業務理解度を持ち合わせていない場合が数多くあり、就業後のアンマッチが発生してしまい、いい転職に成り得なかったケースがたくさんあります。
グロースウェル代表である大芝は上場企業でのCTO経験があり、現在はCEO(経営者)です。高度な専門的技術と経営の2つの視点と高い理解度を兼ね備えた唯一無二のエージェントとして、CTO/VPoEの人材を紹介いたします。今までの総合人材サービスでは成し得なかったマッチ率とフォローサービスを目指します。
CTO育成支援
CTO育成支援では、経営者や幹部陣営に本当に必要な能力をサポートします。経営者等にとって必要不可欠な論理的な思考力を身につけることができる企業講習を行います。
経営学の大学院修士課程を修了し、はじめて授与されるMBAの知識を有するグロースウェルの代表・大芝が経営者様の希望する幹部育成を実施することにより、自身で課題の発見から解決まで自立的に行えるリーダーの育成を支援します。
- ロジカルシンキング研修
- 事業計画書のワークショップ
- 個別スキルアップ研修
まとめ
CTOの役割、CTOとして必要とされるスキルやCTOの年収レベルについて説明すると共に、CTOへのキャリアパスの一例を挙げ、CTOになるための具体的な取り組み例として説明しました。
CTOは企業において、技術的に最高峰に位置し、大きな役割と責任を担う立場にあります。企業が成長していく上でCTOの果たす役割は非常に重要です。
さまざまスキルと経験が求められ責任がある一方で、やりがいがある立場です。そんなCTOを目標として、エンジニアとして成長を目指してみてください。