CTO組織

記事をシェアする

組織改善に失敗した会社の共通点──なぜ良い施策ほど逆効果になるのか






「いろいろやっているのに、なぜか良くならない」




この状態に心当たりはありませんか。




人を増やした。制度を変えた。ツールも導入した。1on1も始めた。会議も増やした。それでも、開発は遅いまま。採用も決まらない。組織の空気も重い。メンバーの表情も明るくならない。むしろ、前より悪くなっている感覚すらある。




この状態は、決して珍しくありません。むしろ、真面目に改善しようとしている会社ほど起きやすい問題です。




なぜなら、問題意識がある会社ほど、何かを変えようとするからです。そしてその「変えようとする行動」そのものが、構造を見誤ると逆効果になることがあるからです。




まずは現状を確認してください。




組織崩壊チェックはこちら




この記事では、組織改善に失敗する会社で実際に起きていることを整理しながら、なぜ正しそうな施策ほど逆効果になるのか、どこで見立てを間違えやすいのか、そして何から立て直すべきかを解説します。




よくある「改善しているつもり」の状態




多くの会社は、問題が起きると何かしらの手を打ちます。それ自体は正しいことです。何もしないより、動く方がいいように見えます。




たとえば、次のような施策です。




  • エンジニアを増やす
  • 評価制度を変える
  • プロジェクト管理ツールを導入する
  • 会議を増やして認識合わせを強化する
  • 1on1を始める
  • マネージャーを追加する
  • 外部研修を入れる



どれも、一見すると正しい対応です。実際、一般論としては間違っていません。




しかし問題は、その施策が「何に対する打ち手なのか」が曖昧なまま導入されていることです。つまり、症状は見えているが、原因は見えていない。その状態で施策だけが増えていく。これが、組織改善に失敗する会社の典型です。




実際に起きていた失敗──人を増やしたのに、さらに遅くなった




ある会社では、「開発が遅い」という問題に対して、まずエンジニアを増やしました。経営としては合理的な判断です。人が足りないから遅いのだろう、なら人を増やせばいい。短期的にはごく自然な発想です。




ところが結果は逆でした。




  • オンボーディング負荷が増えた
  • 既存メンバーのレビュー負担が増えた
  • 誰が何を判断するのかがさらに曖昧になった
  • コミュニケーションコストが一気に増えた
  • 会議の参加人数が増え、決定がさらに遅くなった



つまり、人を増やしたことで、開発が速くなるどころか、余計に遅くなったのです。




ここで分かるのは、「人数不足」が原因ではなかったということです。本当の問題は、役割と意思決定の設計がないまま人を増やしたことでした。







別の失敗──評価制度を変えたら不信感が増えた




別の会社では、「マネジメントが弱い」「成果と評価が結びついていない」という問題意識から、評価制度を見直しました。これも一見すると筋が通っています。評価が曖昧なら、制度を整えればよい。多くの会社が考える打ち手です。




しかし結果は、期待と逆になりました。




  • 制度の意図が現場に伝わらなかった
  • 評価項目が増えたことで、むしろ不信感が増した
  • 「また管理が厳しくなった」と感じる人が増えた
  • 上司への遠慮が強まり、本音が出にくくなった
  • 制度変更そのものが、場当たり的に見えてしまった



要するに、制度は整ったのに、信頼は下がったのです。




なぜか。評価制度が悪かったからではありません。評価制度が効く前提である「評価する側への信頼」が整っていなかったからです。




さらによくある失敗──会議を増やしたら、何も決まらなくなった




改善がうまくいかない会社ほど、「認識を合わせよう」とします。その結果、定例会議が増えます。関係者を増やします。共有の頻度を高めます。これも表面的には正しい。連携不足なら、話す場を増やせばよいように見えるからです。




しかし、設計されていない会議は、連携を生むどころか停滞を生みます。




  • 何を決める会議なのか不明確になる
  • 参加者が多すぎて、誰も責任を持たない
  • 懸念は出るが、優先順位がつかない
  • 議論は深まるのに、結論が出ない
  • 会議の外で不満が増える



この状態になると、会議は「前に進める場」ではなく、「止める場」になります。会議を増やすことが問題なのではありません。構造を見ずに会議を増やすことが問題なのです。




なぜこうなるのか──理由は「原因を間違えているから」




ここまでの失敗には共通点があります。




原因の見立てを間違えたまま、施策を打っていることです。




開発が遅いから人を増やす。評価が曖昧だから制度を変える。連携不足だから会議を増やす。どれも表面的な因果としては自然です。




しかし、本当の原因が別にある場合、その施策は効きません。むしろ、状況を複雑にし、現場の疲弊を増やし、「また何か始まったが続かない」という学習を組織に埋め込んでしまいます。




つまり、失敗の本質は施策そのものではありません。施策を打つ前の問題設定にあります。




本当の原因は「構造」にある




では、本当の原因とは何か。




多くの場合、次の3つに集約されます。




  • 役割が曖昧
  • 意思決定が設計されていない
  • 感情が放置されている



1. 役割が曖昧




CEO、CTO、PdM、EM、現場リーダー。それぞれの責任範囲が曖昧な会社では、施策を増やすほど混乱が増えます。誰が決めるのか分からないまま人だけ増やせば、責任の所在はさらにぼやけます。




2. 意思決定が設計されていない




何を、誰が、どの条件で決めるのか。ここが曖昧なまま改善施策を打っても、導入後に運用がぶれます。制度変更も採用方針もプロセス改善も、結局は「誰がどこまで責任を持つか」が整理されていないと続きません。




3. 感情が放置されている




ここがもっとも見落とされます。焦り、不信、遠慮、諦め、警戒。こうした感情がある状態では、どんな施策も本来の効果を発揮しにくくなります。制度変更は監視に見え、会議は詰問に見え、新しいマネージャーは管理強化に見える。つまり、感情がフィルターになって施策の受け取られ方を変えてしまうのです。







一番危険なパターン──「正しい施策ほど失敗する」




ここが一番怖いところです。




正しい施策ほど失敗することがあります。




なぜなら、施策が正しいほど、「やっているのに改善しない」という感覚が強くなり、組織に無力感が広がるからです。




たとえば、人を増やすのは一般論として正しい。評価制度を整えるのも正しい。1on1を始めるのも正しい。ところが、構造がずれたままだと、それらはすべて「また現場に負荷を増やすもの」として受け取られることがあります。




その結果、改善施策そのものが信頼を失います。これは危険です。なぜなら、次に本当に必要な施策を打とうとしても、現場が「どうせまた変わらない」と感じてしまうからです。




典型例を整理するとこうなる




1. 人を増やす




→ オンボーディング負荷が増え、さらに遅くなる




2. 会議を増やす




→ 情報は増えるが、決まらなくなる




3. 制度を変える




→ 監視されている感覚が強まり、不満が増える




4. マネージャーを増やす




→ 権限の線引きが曖昧なまま、むしろ現場が混乱する




5. ツールを入れる




→ 情報量だけが増え、誰も使いこなせない




どれも「あるある」です。そして、どれも施策単体が悪いわけではありません。土台が整っていないことが問題なのです。




なぜ気づけないのか──内部では見えないから




では、なぜここまで見誤るのでしょうか。




理由はシンプルです。




内部では見えにくいからです。




経営者は日々の意思決定に追われています。CTOは技術課題と採用と障害対応を抱えています。マネージャーは現場と上層の板挟みです。全員が当事者です。当事者であるほど、自分たちの構造を俯瞰しにくくなります。




しかもそこに、感情の履歴が重なります。前に否定された。提案しても変わらなかった。急に方針が変わった。そうした経験があると、改善施策そのものに対しても警戒が生まれます。




つまり、問題が見えないのではなく、見えていても正しく意味づけできていないことが多いのです。




さらに悪化する理由──時間が経つと戻しにくくなる




この状態で時間が経つと、次のことが起きます。




  • 人が辞める
  • 採用が弱くなる
  • 本音が上がらなくなる
  • 施策そのものが信用されなくなる
  • 改善のたびに現場の疲労が増える



つまり、単に改善が失敗するだけではありません。改善が失敗する組織体質ができてしまいます。




ここまで進むと、現場は新しい施策を見るたびに「また何か始まった」と感じ、期待より先に防御反応が出るようになります。この状態は、数字以上に深刻です。




ここまで行くと、少し制度を直すくらいでは戻りません。だからこそ、早い段階で構造として整理することが重要です。







どうすればいいのか──答えは「構造を見ること」




答えはシンプルです。




施策の前に、構造を見ることです。




やるべきことは、まず次の問いに答えることです。




  • 本当に詰まっているのはどこか
  • 誰が何を決める設計になっているか
  • どの会議で何が止まっているか
  • 何に対する不信や警戒があるのか
  • 今の施策は、どの問題に対する打ち手なのか



この整理ができると、ようやく打ち手が効くようになります。逆に、ここを飛ばすと何をしても遠回りになります。




重要な視点──人を変える前に、構造を整える




改善が失敗すると、「誰かを変えた方がいいのでは」と考えがちです。もちろん、人の配置を見直す必要があるケースはあります。




ただ、多くの会社では、人を変える前にやるべきことがあります。




構造を整えることです。




なぜなら、構造が同じなら、次の人が来ても同じことが起きやすいからです。特に、CTOやマネージャーだけを入れ替えても、役割期待と意思決定と感情の詰まりがそのままなら、また同じ壁に当たります。




この点は、外部視点を入れると一気に見えやすくなります。




外部CTOはこちら




改善が失敗する会社は「問題解決」ではなく「問題追加」をしている




もう一つ大切なのは、施策を増やすことが改善ではないという点です。構造を見ずに手を打つと、改善しているつもりで問題を増やしてしまいます。




人を増やして教育コストが増える。会議を増やして判断が遅くなる。制度を増やして不満が増える。ツールを増やして情報が散る。これは、問題を解いているのではなく、問題を追加している状態です。




だからこそ、改善とは「何かを足すこと」ではなく、「何が詰まりを生んでいるかを見えるようにし、不要な摩擦を減らすこと」だと考えた方がうまくいきます。




違和感があるなら、まだ戻せる




幸いなのは、多くの会社では「完全に壊れる前」に違和感が出ていることです。会議が増えた。決まらない。提案が減った。評価に納得感がない。採用で負ける。こうした違和感は、崩壊の前兆でもありますが、改善の入口でもあります。




問題は、違和感を雑に扱わないことです。「忙しいだけ」「一時的なもの」と片づけず、構造のサインとして見る。ここができると、立て直しはかなり早くなります。




最後に




組織は、間違った方向に努力すると悪化します。




そして本当に怖いのは、みんな真面目に改善しようとしているのに、結果として組織の信頼を削ってしまうことです。




大事なのは、施策の数ではなく、問題設定の正しさです。




改善しているのに良くならない。むしろ悪化している気がする。そう感じているなら、もう一度「何が本当の原因か」を整理する価値があります。




ご相談




もし今、




  • 改善しているのに良くならない
  • 原因が分からない
  • 組織に違和感がある
  • 何から手を付けるべきか迷っている



そう感じているなら、一度整理する価値があります。




グロースウェルでは、開発組織や技術組織の停滞を、単なる制度論ではなく、役割・意思決定・感情の構造から整理する支援を行っています。壁打ちレベルでも構いません。問題の地図が見えるだけでも、次の一手はかなり明確になります。




\\スポットCTOのお試し体験を開催中//

貴社が抱える課題を実際どのように解決していくのか
グロースウェル代表の大芝が1社に付き1回限り1時間無料で
ご提供させていただきます。

ご希望の方はお問い合わせフォームよりお申し込みください。