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事業売却時のバリュエーションを高めるシステム開発


今回は、事業売却におけるシステム開発についてお話したいと思います。

システム開発、というと事業のマネタイズエンジンとしてや、自社の業務の効率化のために、という文脈で語られることが多いですが、実は、「事業売却」という視点で見ると、また違ったメリットが見えてきます。




最近、企業様からの将来的な事業売却を見据えたご相談が増えてきており、自分の学習メモも兼ねてこれまでの経験や感じている事をアウトプットしていきます。




目次
1.事業売却におけるシステム開発の重要性
1.事業価値の向上
2.要件の整理と把握
2.システム開発によって事業売却の価値を高める方法
1.システム開発で解決すべきポイント
2.事業売却のためにシステム開発すべき項目について
まとめ




1.事業売却におけるシステム開発の重要性




システム開発は、事業売却に与える影響が大きいと言われています。具体的には、以下のような影響が考えられます。




1 .事業価値の向上

事業売却の中で特に重要視されるのが「事業の持続性」です。

社内の誰かがいないと途端に回らなくなるようなビジネスプロセスを組んでいたりすると、売却時のバリューエーションが下がったり、該当の人材のロックアップ期間などが設定され、売却時の制限が増えてしまうことになります。




言い換えると、そういった属人性が排され「仕組み化」されて売上が生み出されるような事業になっていると売りやすいのです。




仕組み化には、「職務分掌の明確化」「ドキュメント化」「パッケージソフトウェアの導入」などありますが、その中でもマネタイズエンジンとして属人化しないプロダクトを持っている企業は非常に高い値が付く傾向があります。




なぜならば、プロダクトは原則その会社の中にのみ存在する1点ものである為、代替されずらく、ビジネス競争力の源泉ともなるからです。




2.要件の整理と把握

これは意外と見落とされがちなのですが、システム開発を行うことで、事業の業務プロセスや情報システムの要件を整理し、把握することができるようになります。





これは意外と見落とされがちなのですが、システム開発を行うことで、事業の業務プロセスや情報システムの要件を整理し、把握することができるようになります。




これにより、事業の情報システムの問題点や改善点が明確になり、事業売却に向けた戦略を立てることができます。また、要件の整理と把握によって、事業売却後の引き継ぎや運営にも役立つ情報を得ることができます。




事業を買収した企業が、買収後にそのビジネスをスムーズに継承出来るかどうか、それは「なぜこのような目的でこの業務を行っているのか?」という業務の歴史が把握出来るかどうかにかかっています。




不要だと思っていた業務を止めたら、実は他の業務で必要な情報を作成する役割を担っていた。




誰も使っていないシステムだと思って止めたら、実は請求書発行を行うシステムだった。




・・などなど歴史が分からない業務やシステムを触る時のリスクは、皆さんもご経験があるのではないでしょうか。




過去のお客様の例ですが、自分の高齢化を考え事業継承を目的とした事業売却をしたいというご相談を頂きました。




現場を見てみると、なんと業務のほとんどが人によって行われており、IT系で導入されているのは、メールとファイルサーバーくらい。




社歴10年以上の古株社員に聞かなければどのような業務がどんな手順で行われているかもわからないような状態のまま業務が回っており、めちゃくちゃ驚きました。。




そんな属人性の極みな状態だったため、高値での売却どころか買い手自体が中々手を上げづらい状態だった為、売り先を探すのをやめて一度内部のクオリティを高める方向にかじを切りました。




業務ヒアリングを行い、半年以上かけて営業管理システム、勤怠管理システム、などのシステムを導入し業務の見える化とシステム化を推し進めた結果、古株に聞かねばわからない、という問題はなくなり

入社して即日、誰もが同じクオリティで社内業務が誰でもできるようになりました。




ここまで整理した上で再度売却を打診すると、非常によい反応を頂くことが多く無事に希望額以上で売却することが出来たのです。




2.システム開発によって事業売却の価値を高める方法




では、事業売却時の価値を高める上でどのようなポイントに気をつけてシステムを組めばよいのでしょうか?




1.システム開発で解決すべきポイント

1つ目は、情報の把握と可視化です。




事業売却においては、買い手が事業の情報を詳しく把握することが重要です。しかし、多くの企業では、業務プロセスや情報が複雑に絡み合っているため、情報の把握が困難な場合があります。




そのためシステム化の前段階として作業のドキュメント化を進めることを強くオススメ致します。




ちなみに何でもかんでもシステムを内製する必要はありません。




kintoneなどを始めとする便利なSaaSサービスが多々ありますので、ニーズに応じてそれらの中から選択しても良いのです。




ですが、そもそも自社の業務がどうなっているのか、何をどう解決するのかを明らかにしないままにソフトウェアの力を使うと




・現場から導入反発が起きて形骸化する

・現場の業務が回らなくなり事業の停滞を招く




ということになりまし。

段取りが9割、とよく言われますが、システムがひとたび稼働すればそれを途中から止めることは、始めることよりも困難になります。




であれば、こそまずは自社の業務を整理することが何よりも先決なのです。




2つ目は、顧客情報の管理です。




こちらはマストといってもいいほどシステムを導入することを強く進めます。

顧客情報は、事業売却において非常に重要な要素を占めます。




顧客情報イコール売上ポテンシャル。

顧客情報イコール売上ポテンシャル。




大切なことなので2回言いました。

その企業がどのような企業と取引しているのか、取引企業数が何社くらいあるのか、過去の取引先、現在営業中のリスト




こういった情報はそのままその会社の売上ポテンシャルに直結します。

この情報を無くして会社の価値を算定することは不可能に近いです。




直近の売上見込みはどうですか?と質問すると




それは〇〇部長に聞かないと分からない

営業部のドライブにあるはずだが更新が1週間に1回なので、最新の状態ではない




といったお返事を頂くことがあります。

これは目隠しで車を運転するに等しい行為で、即時見える化をすべきです。




なお、こういった場合、往々にして自分が情報を持っている事にアイデンティティを感じ、情報をシェアすることに抵抗を感じる方がほとんどです。




こういった心理的な不安を取り除きながら経営状態を健全化するには、EQによるアプローチが非常に有効です。




もしよければ拙作の「組織の感情を変える」をご参照ください。




https://amazon.jp/dp/4534059906



2.事業売却のためにシステム開発すべき項目について

事業売却のバリュエーションを高めるには、なんといっても「属人性を排する」ことに尽きます。




属人化しやすい領域は以下なので、まずはこのあたりからシステム化を目指していくと良いでしょう




営業領域・・情報の流れや(会社によっては)人の出入りが激しいので、各担当者の頭の中や手元のパソコンでのみ管理されることが非常に多いのです。だからこそ、システム導入には現場からの反発も大きく導入も中々に苦労するのですが、ここを統合しない限りは事業売却はおろか企業の成長に大きくブレーキが掛かってきます。




実際に、私がご相談を頂くクライアント様の中でも、営業情報がブラックボックス化しており、売上見込が立てづらく経営計画が立てづらいというご相談を非常に多くいただきます。




社内稟議/契約書関係・・こちらも中々システム化されず、メールでやり取りされることが多く、意外と業務負担が多い部分だったりします。社員数が100名以上ともなると、稟議がどこで止まっているか突き止めるだけで数日かかる。1つの稟議を通すのに1週間単位で時間がかかる。なんてこともザラにあります。意思決定が遅くなればその分、会社の機動力も落ちますのでこういった裏方的な業務こそシステムをいれてスムーズにすると非常に効果的です。




資料作成関係・・カスタマーサポート系などでよくある業務です。エクセルやパワーポイントを行き来しながら、毎月、何十という業務を手作業で作っていることが多いのですが、、実はこちらは、最もシステム開発と相性が良いのです。業務が定型化されており、アウトプットが明確な物が多いのでシステムとして組んだ際に「思ってたのと違う・・」となりづらいのです。




まとめ




最後になりますが、事業売却を目指すのであれば
「属人性を排除すること」「持続可能なビジネスであること」
この2つの要素が非常に大切です。




事業のバリュエーションを高める上で、システムを持つことは非常に強力な武器となります。

一方で、これまでシステムがなかった組織にシステムを導入することになると変化による反発を受けることになります。




こういった現場の反発をうまく調整しシステムや新しい仕組みを導入するのが実は、事業価値を向上する上で最も難しい事かもしれません。




もしこれを読んでいる方の中で、自社内で仕組み改善が進まずに悩みがあるようでしたら、ぜひ、ご連絡ください。




御社への仕組みづくり、お手伝い致します。




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