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CTOが機能しなかった会社が変わった理由──組織が動き出した決定的な転換点






CTOが機能しなかった会社が変わった理由──組織が動き出した決定的な転換点




「CTOがいるのに、なぜか会社が前に進まない」




この相談は、実はかなり多いです。




CTOはいる。技術力もある。責任感もある。現場からの信頼も、表面的にはそこまで低くない。それなのに、開発は遅い。意思決定は詰まる。採用も伸びない。CEOはどこか苛立ち、現場には静かな諦めが広がっている。




今回の事例は、まさにその状態でした。




まずは同じ状態か確認してください。




CTOチェックリストはこちら




Before:CTOは優秀なのに、組織の推進力になっていなかった




最初にお伝えしたいのは、この会社のCTOは決して「能力が低い人」ではなかったということです。




  • 技術力は高い
  • 事業理解も一定ある
  • 責任感も強い
  • 品質への意識も高い
  • 現場の技術的な相談にも答えられる



それでも、組織全体としては機能不全が起きていました。




表に出ていた症状は、次のようなものです。




  • 重要な仕様の決定に時間がかかる
  • CEOとCTOの会話が毎回どこかで噛み合わない
  • エンジニアが受け身になっている
  • 採用面接で候補者への訴求が弱い
  • 優先順位の変更が多く、現場の納得感が低い
  • 会議が増えているのに、前に進んでいる感覚がない



つまり、CTO個人は優秀なのに、CTOという役割が組織の中で機能していなかったのです。




最初に見えていた問題は「開発が遅い」だった




経営側が最も強く感じていたのは、シンプルに「開発が遅い」ということでした。




出したい機能が予定どおり出ない。細かな仕様調整に時間がかかる。優先順位が揺れやすい。営業やマーケティングが立てた計画に、開発の確度が乗らない。結果として、事業全体のスピードが落ちていました。




こういうとき、多くの会社はまず「技術の問題」を疑います。スキルが足りないのではないか。人数が足りないのではないか。プロジェクト管理が甘いのではないか。ツールが不足しているのではないか。




しかし、深掘りすると違いました。




本当の問題は、実装そのものではなく、その前段の構造にありました。




仕様を決めるまでに時間がかかる。決めたあとに覆る。現場が納得していない。CTOが守りたいものと、CEOが取りたい市場機会が翻訳されていない。これらが重なって、開発の遅さとして表面化していたのです。




問題の正体は、3つのズレだった




整理すると、この会社で起きていたことは大きく3つのズレに集約できました。




  • CEOの期待とCTOの役割のズレ
  • 意思決定のルール不在によるズレ
  • 感情の未処理によるズレ






1. CEOの期待とCTOの役割がズレていた




CEOは、CTOに対して「技術的な判断」だけではなく、「事業を前に進めるための翻訳者」としての役割も期待していました。つまり、技術的制約を踏まえながら、どう進めるかを経営視点で一緒に組み立ててほしいと考えていたのです。




一方でCTOは、自分の役割を「品質と開発基盤を守ること」だと捉えていました。無理な仕様を止めること。将来の事故を防ぐこと。技術負債を増やしすぎないこと。それ自体は極めて正しい認識です。




問題は、どちらが正しいかではありません。




期待値が共有されていなかったことです。




CEOは「もっと前に進めてほしい」と感じ、CTOは「現実を見てほしい」と感じる。両者とも会社のことを考えているのに、会話のたびにすれ違う。その結果、信頼ではなく微妙な緊張感が積み上がっていました。




2. 意思決定が設計されていなかった




二つ目は、意思決定の仕組みそのものの問題です。




この会社では、重要な論点について「誰が最終的に決めるのか」が曖昧でした。CEOが決める領域、CTOが決める領域、PdMが決める領域、現場の裁量で進めてよい領域が、きれいに分かれていなかったのです。




すると何が起きるか。




  • 会議で論点は出るが結論が出ない
  • 一度決めたことが後から変わる
  • 現場は「どうせまた変わる」と思って全力で走れない
  • CTOは最終責任だけ負わされている感覚になる



開発の遅さは、コードを書くスピードだけで決まりません。決まるまでの遅さ決めたあとに揺れる遅さ納得感がないことによる実行の遅さが、大きく効きます。




3. 感情が詰まっていた




三つ目が、もっとも重要でした。




この会社では、感情が静かに詰まっていました。




  • CEOは、前に進まないことへの焦りを強めていた
  • CTOは、無理を通されることへの警戒を強めていた
  • 現場は、どうせまた変わるという諦めを抱えていた



表向きには誰も露骨に対立していませんでした。だからこそ見えにくかった。




でも、会議の空気、相談の減少、提案の減少、採用面接での温度感の薄さという形で、感情は確実に表に出ていました。




ここを見ずに制度や人数だけいじっても、根本は変わりません。なぜなら、組織はロジックだけで動いていないからです。




よくある誤解:CTOを替えれば解決するわけではない




この状態で、経営者が最初に考えがちなのが「今のCTOでは厳しいのではないか」という発想です。




もちろん、役割の再設計の結果として、人の配置を見直した方がいいケースはあります。ただ、この会社では、いきなりそこには行きませんでした。




理由は明確です。




構造が同じなら、誰が来ても同じ問題が起きるからです。




CEOの期待が曖昧なまま。意思決定の境界線が曖昧なまま。現場の感情が詰まったまま。その状態で新しいCTOを入れても、最初は期待で持ち上がっても、数ヶ月後にはまた同じ論点で詰まります。




この会社でも、誰か一人が極端に無能だったわけではありませんでした。むしろ全員優秀でした。ただ、優秀な人たちの合理性が、設計されずにぶつかっていたのです。







実際にやったことは、意外なほどシンプルだった




ここからが転換点です。




やったことは、派手な改革ではありませんでした。組織図を大きく変えたわけでもなく、いきなり大規模採用をしたわけでもありません。むしろ、かなり基本的なことを徹底的に整えました。




① CTOの役割を再定義した




最初にやったのは、CTOの役割を言葉にすることでした。




この会社では、CTOに何を期待するのかが、人によって違っていました。CEOは「事業推進の伴走者」として見ていた。現場は「技術を守る人」として見ていた。採用担当は「会社の技術的魅力を語る人」として見ていた。




そこで、次のように切り分けました。




  • CTOが最終判断する領域
  • CEOと共同で決める領域
  • PdMと連携して進める領域
  • 現場リーダーに委譲する領域



この整理だけで、会話の解像度が一気に上がりました。「CTOが弱い」のではなく、「期待が混ざっていた」ことが見えたからです。




② 会議を減らすのではなく、「決める会議」に変えた




次にやったのは、会議の設計です。




ポイントは、会議数を減らすことではなく、会議ごとの役割をはっきりさせることでした。情報共有の場なのか、相談の場なのか、最終決定の場なのかを分け、決定会議では「何がそろえば決定するのか」を事前に明示しました。




また、会議で決めたあとに覆ることを防ぐために、判断基準も残しました。なぜそう決めたのか、何を優先し、何を後ろに置いたのかを言語化するようにしたのです。




その結果、現場は「また変わるかもしれない」と警戒しながら待つ必要が減り、実行のスピードが上がりました。




③ 感情を、論点として扱った




そして最も大きかったのがここです。




この会社では、それまで感情は“扱ってはいけないもの”のようになっていました。焦りも不信も遠慮も、表では論理に置き換えられていたのです。




そこで、経営とCTO、CTOと現場、それぞれの間で「何にストレスを感じているか」「どこで違和感が起きているか」を、責めるためではなく構造理解のために言語化しました。




たとえば、CEOの焦りは単なるせっかちさではなく、市場機会を逃したくない責任感から来ていた。CTOの慎重さは単なる保守性ではなく、将来の崩壊を避けたい責任感から来ていた。現場の受け身は単なる甘えではなく、方針変更の多さに対する学習だった。




ここが見えたことで、「誰が悪いか」ではなく「何が詰まりを生んでいるか」で話せるようになりました。




After:3ヶ月後、何が変わったか




もちろん、3ヶ月ですべてが理想状態になったわけではありません。ただ、変化はかなり明確でした。




  • 重要な会議で結論が出るようになった
  • 開発着手までの調整時間が短くなった
  • CTOとCEOの会話の摩擦が減った
  • 現場からの提案が増えた
  • 採用面接での説明の一貫性が上がった
  • 開発の見通しに対する納得感が増した



中でも大きかったのは、空気が変わったことです。




以前は、会議で本音が出にくく、終わったあとに不満が漏れていました。改善後は、会議の中で懸念が出せるようになり、決めたあとに「納得していないまま従う」状態が減りました。




これは、単なる雰囲気改善ではありません。組織が機能し始めたということです。







なぜ変わったのか




理由はシンプルです。




構造が整ったからです。




そして、感情が整理されたからです。




この二つは切り離せません。役割と意思決定だけ整えても、感情が詰まっていればまた止まります。逆に、気持ちのケアだけしても、構造が曖昧ならまた同じところで揉めます。




この会社では、その両方を同時に扱ったから変わりました。




この事例で本当に大事なポイント




この事例で強調したいのは、誰も無能ではなかったということです。




CEOも、CTOも、現場も、それぞれの立場で正しく動いていました。それでも止まっていた。だから、開発が遅い会社を見たときに「誰が悪いか」から入ると、本質を見誤ります。




本当に見るべきなのは、なぜその詰まりが再現しているのかです。なぜ毎回同じように遅れるのか。なぜ会議が長くなるのか。なぜ本音が上がらないのか。そこに再現性があるなら、原因は個人ではなく構造にあります。




あなたの会社でも起きている可能性がある




もし今、次のような状態があるなら、この事例はかなり近いかもしれません。




  • CTOがいるのに事業が進まない
  • 開発の遅れに納得感がない
  • CEOとCTOがどこかで噛み合わない
  • 現場からの提案が減っている
  • 採用で良い候補者を取り切れない
  • 社内に説明しづらい停滞感がある



こうした状態は、単発ではなく、同じ根から生まれている可能性があります。




背景は、次の記事でも整理しています。




CTO問題の記事




違和感が小さいうちに扱うことが、最短の改善策になる




経営の現場では、「今は忙しいから」「もう少し様子を見よう」と判断しがちです。実際、その気持ちはよく分かります。目の前に優先すべきことが山ほどあるからです。




ただ、CTO機能不全だけは、放置コストが高い。なぜなら、遅さがそのまま事業機会損失になり、さらに採用・評価・信頼にも連鎖するからです。




逆に言えば、違和感が小さいうちなら、手はまだ軽く済みます。役割を少し整理する。意思決定の型を整える。感情の詰まりを言葉にする。それだけで前に進み始める会社は少なくありません。




問題が大きくなってからではなく、軽く見える段階で構造として捉え直すこと。それが、結果的に最短の改善策になります。




最後に




組織は、意図しないと壊れます。




でも、意図して整えれば戻せます。




大事なのは、誰を責めるかではなく、何が詰まりを生んでいるかを見えるようにすることです。CTOの問題は、CTO一人の問題に見えて、実際には経営と技術と現場の接続問題であることが少なくありません。




もし今、同じような違和感があるなら、それは改善の入り口です。




ご相談




もし今、




  • CTOに課題がある
  • 整理したい
  • 原因を知りたい
  • 社内だけでは見えないと感じている



そう感じているなら、一度整理する価値があります。




グロースウェルでは、CTO・VPoE・開発組織の停滞を、単なる技術論ではなく、構造と感情の両面から整理する支援を行っています。壁打ちレベルでも構いません。原因が見えるだけでも、次の一手はかなり打ちやすくなります。




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