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採用が通らなかった会社が変わった理由──エンジニア採用が決まり始めた転換点






「良い候補者が来ても、なぜか最後で決まらない」




この相談は、本当に多いです。




応募はある。面談もできている。技術的に悪くない候補者とも会えている。それなのに、最終的に承諾に至らない。内定辞退が続く。採用エージェントからも「紹介できる人はいるのですが、御社だと決まり切らないですね」と言われる。そんな状態です。




多くの会社は、この段階で「採用広報が弱いのではないか」「条件が足りないのではないか」「母集団形成が弱いのではないか」と考えます。もちろん、それらが関係することはあります。




ただ、実際にはもっと根深いことが起きているケースが少なくありません。




採用が通らない会社は、採用の前に、組織の側で選ばれにくい状態になっていることが多いのです。




まずは、同じような状態が起きていないか確認してください。




組織崩壊チェックはこちら




Before:応募はあるのに、最後で決まらない会社だった




今回の会社も、最初は「採用力が弱い会社」だと思われていました。




  • スカウト返信率が極端に悪いわけではない
  • カジュアル面談までは一定数つながる
  • 技術課題や面接の評価もそこまで悪くない
  • 市場相場から見ても条件が極端に見劣りするわけではない



にもかかわらず、最終的な承諾率が低い。特に、優秀な候補者ほど他社に流れる。ここが大きな悩みでした。




表面上は「採用の問題」に見えます。しかし、中を見ていくと、採用の問題というより、採用で露呈している組織問題でした。




面接に出る人によって話す内容が違う。CEOは成長の話をする。CTOは守りの話をする。現場は忙しさのリアルを話す。どれも嘘ではありません。でも、候補者に伝わるのは「会社として何を大事にしているのかが、まだ固まり切っていない」という印象です。




しかも、選考スピードも安定していませんでした。ある候補者には早い。別の候補者には遅い。面接評価の観点も揃っていない。採用会議で最終判断が揺れる。こうした小さなズレが積み重なり、最終的には候補者に「この会社は、入ってからも意思決定が遅そうだ」と感じさせていたのです。







最初に疑われたのは「採用広報」と「条件」だった




この状態になると、多くの会社はまず採用活動のテクニックを見直します。




  • 求人票の文言を改善する
  • スカウト文面を変える
  • 面接回数を減らす
  • 年収レンジを見直す
  • エージェントを増やす



これらは必要な打ち手です。ただし、それだけでは決まり切らない会社があります。今回の会社がそうでした。




実際に選考プロセスを振り返ると、候補者が離脱する理由は、条件そのものよりも、会社の解像度が上がるほど不安が増すことにありました。最初は期待していたのに、面接を重ねるうちに違和感が増える。これはかなり危険な状態です。




なぜなら、候補者は採用プロセスを通して会社の未来を見ているからです。面接でのズレは、入社後のズレの予告に見えます。意思決定の遅さは、入社後の停滞に見えます。メッセージの不一致は、組織の不一致に見えます。




つまり、採用がうまくいかない原因は、採用活動の弱さというより、候補者が組織の歪みを感じ取っていたことにありました。




問題の正体は、採用ではなく「組織の一貫性不足」だった




整理すると、この会社で起きていた問題は大きく4つありました。




  • 会社としてのメッセージが揃っていない
  • CTOとCEOの優先順位が候補者に見えてしまう
  • 採用基準が統一されていない
  • 選考スピードと意思決定に納得感がない



1. 会社としてのメッセージが揃っていない




CEOは「市場機会」「成長」「攻め」の話をする。CTOは「品質」「負債」「慎重さ」の話をする。現場マネージャーは「忙しいがやりがいはある」と言う。これ自体はそれぞれ事実です。




ただ、候補者から見ると、「この会社は最終的に何を優先するのか」が見えなくなります。攻めたいのか、守りたいのか。急ぐのか、整えるのか。挑戦を歓迎するのか、安定運用を重視するのか。その一貫性が薄いと、優秀な候補者ほど不安になります。




2. CTOとCEOのズレが候補者に見えてしまう




この会社では、CTOとCEOの関係が悪かったわけではありません。ただ、優先順位の違いが十分に翻訳されていませんでした。




CEOは「早く出したい」。CTOは「このままでは危ない」。どちらも正しいのですが、そのまま候補者に出ると、「入社後もこの二人の間で板挟みになるのではないか」と感じさせます。




優秀な候補者は、職務内容だけでなく、どんな意思決定環境で働くことになるかをかなり見ています。だから、ここが揃っていない会社は最後で負けます。




3. 採用基準が統一されていない




面接官によって評価基準が違う状態もありました。ある人は技術力を重視し、ある人はカルチャーフィットを重視し、ある人は将来のマネジメント適性を見ている。観点が複数あること自体は悪くありません。




問題は、何を優先する採用なのかが共有されていないことです。すると候補者に対して質問の意図もズレるし、評価会議でも結論が出にくくなります。結果として、意思決定が遅くなり、候補者体験も悪化します。




4. 選考スピードに納得感がない




スピードが遅いこと自体も問題でしたが、それ以上に問題だったのは、遅い理由が候補者に見えていないことでした。単に「社内調整中です」と言われても、候補者には社内の事情は分かりません。候補者から見ると、「迷っている会社」「決め切れない会社」「入社後も遅そうな会社」に映ります。




採用においてスピードは熱量です。意思決定の速度は、その会社がどれだけ本気で迎えたいと思っているかの表現でもあります。







やったことは、採用施策より先に「組織の解像度を揃えること」だった




そこで、この会社では採用施策を増やす前に、まず組織の見え方を整えました。




① 経営と技術のメッセージを揃えた




最初にやったのは、CEOとCTOが候補者に何を伝えるのかを揃えることでした。ここで重要だったのは、同じことを話すようにすることではありません。違いがあっても、一つのストーリーとしてつながるようにすることです。




たとえば、CEOが「なぜ今スピードが重要なのか」を語り、CTOが「その中で何を守り、どこに線を引くのか」を語る。この二つが矛盾ではなく補完関係として伝わるようにしました。




② 採用基準を言語化した




次に、採用で本当に見たいポイントを絞りました。技術力、カルチャーフィット、成長余地、将来の役割期待。その中で、今回は何を優先し、何は入社後の育成で補うのかを明確にしました。




これにより、面接官ごとの評価軸が揃い始め、候補者に対する質問の一貫性も出てきました。評価会議も短くなり、最終判断も速くなりました。




③ 候補者体験を「選考」ではなく「組織理解の場」に変えた




以前のこの会社の面接は、見極めの色が強すぎました。質問は多いが、候補者が会社を理解するための情報が薄い。すると、候補者は評価されるだけで、入社後のイメージが持てません。




そこで、選考プロセスの中に「会社の意思決定の仕組み」「技術と事業の関係」「今抱えている課題と、それにどう向き合っているか」をきちんと伝える場を組み込みました。完璧な会社に見せるためではありません。課題があっても、それをどう扱っているかが見える会社にするためです。




④ 選考スピードの基準を決めた




さらに、選考ステップごとに返答の目安を決め、面接官側の調整を後ろ倒しにしないようにしました。これにより、候補者へのレスポンスが安定し、「本気度」が伝わりやすくなりました。




After:3ヶ月後、採用の何がどう変わったのか




改善後、3ヶ月で起きた変化はかなり明確でした。




  • 最終面接後の辞退率が下がった
  • 選考途中の離脱が減った
  • 優秀層の承諾率が上がった
  • エージェントからの評価が改善した
  • 面接官間の評価のブレが減った



数値面での改善もありましたが、それ以上に大きかったのは、候補者からの反応です。




  • 「会社の方向性が見えやすかった」
  • 「CTOとCEOの話がつながっていた」
  • 「課題も含めてリアルに理解できた」
  • 「入社後の働くイメージが持てた」



つまり、採用が通り始めた理由は、採用テクニックが上がったからではなく、候補者が会社を信頼できるようになったからでした。




なぜ変わったのか




理由は明確です。




採用の前に、組織の一貫性を整えたからです。




採用は、会社の現在地をそのまま映します。意思決定が遅い会社は、採用も遅い。役割が曖昧な会社は、面接でもメッセージが曖昧になる。CTOとCEOが噛み合っていない会社は、候補者にもそのズレが伝わる。




逆に言うと、採用が弱いときは、採用活動だけを疑うのではなく、組織側を疑う必要があるのです。







重要なポイント:「いい人がいない」のではなく、「選ばれていない」ことがある




採用がうまくいかない会社ほど、「今は市場が厳しいから」と考えがちです。もちろん市場は厳しいです。ただ、それだけで全部を説明すると、改善の余地を見落とします。




候補者はいます。優秀な人もいます。問題は、その人たちから見て、自社が魅力的か、安心して入れるか、入社後に伸びられそうかが伝わっているかです。




つまり、採用が弱いときに本当に問うべきは、「人がいないか」ではなく、自分たちが選ばれる状態になっているかです。




採用は、組織の状態を映す鏡である




この事例で改めて分かったのは、採用は独立した機能ではないということです。採用だけ良くすることは難しい。なぜなら、採用は会社のメッセージ、役割定義、意思決定、信頼関係、空気感の総合点だからです。




だから、採用で負ける会社がやるべきなのは、募集文の改善だけではありません。面接官トレーニングだけでもありません。まず、会社として何を目指し、誰が何を担い、どんな環境をつくろうとしているのかを揃える必要があります。




採用改善は、組織改善とセットで考えるべきなのです。




候補者は「会社の未来」を見ている




忘れがちですが、候補者は求人票だけを見て判断していません。面接で話した内容、レスポンスの速さ、面接官同士の一貫性、会社の課題の見せ方、CTOやCEOの言葉のつながり。そうしたものから、「この会社に入ったらどう働くことになるか」を想像しています。




だから、採用で勝つ会社は、採用が上手い会社というより、未来を安心して想像させられる会社です。




逆に、いま採用が弱いなら、それは候補者に見せている未来が曖昧か、不安定か、魅力として伝わっていない可能性があります。




採用が弱いときほど、社内の“ズレ”が外に漏れている




もう一つ大事なのは、採用が弱い会社では、社内のズレがかなりの確率で候補者に伝わっているという点です。経営は攻めたい、技術は守りたい、現場は疲れている。この三者のズレが翻訳されていないと、候補者は面接の断片からそれを察知します。




これは「候補者が細かすぎる」のではありません。優秀な人ほど、入社後に何が起こるかを事前に見抜こうとするからです。むしろ、そこに敏感だからこそ優秀層なのです。




つまり、採用改善は「候補者への見せ方を整えること」であると同時に、「そもそも見せるべき中身を整えること」でもあります。この順番を間違えると、採用活動だけが空回りします。




最後に




採用は、組織の状態を映す鏡です。




採用だけを直しても、組織が整っていなければ、また同じ問題が起きます。逆に、組織が整うと、採用は自然に強くなります。候補者から見える景色が変わるからです。




採用が弱いと感じたときこそ、採用の前に組織を見る。




これが、この事例の本質です。




ご相談




もし今、




  • 採用がうまくいかない
  • 辞退が多い
  • 原因が分からない
  • 組織に違和感がある



そう感じているなら、一度整理する価値があります。




グロースウェルでは、採用の停滞を、採用テクニックだけでなく、組織構造と感情の両面から整理する支援を行っています。壁打ちレベルでも構いません。採用が弱い理由が見えるだけでも、次の一手はかなり明確になります。




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