組織改革コンサルとは?得られる改革と選び方のポイント
企業の全体的な改革や事業開発に取り組む「組織コンサル」は、ことばの定義が曖昧であったり、明確にどのような課題を解決してくれるのかが広く伝わっていなかったりすることもあり、導入のイメージが今ひとつわかないという方は少なくありません。
ただ、ことばの抽象度が高いぶん、組織コンサルに会社を任せることにより、抜本的な構造改革や事業の刷新などを推進できるため、現状の打破に悩んでいる経営者の方にとっては積極的に活用したいサービスです。
今回は、そんな組織コンサルの活用によって会社にどのような改革をもたらすことができるのか、その役割や依頼時に知っておきたいポイントなどについて解説します。
組織コンサルとは
組織コンサルは、組織開発コンサルティングの略称で、企業における組織開発に関する助言や提案、具体的な施策の実行支援を受け持っているコンサルティングサービスです。
そもそも組織開発とは、企業全体の改革を指すこともありますが、企業の一部門やプロジェクト単位のチームの改善も含まれます。会社全体が機能不全に陥っている場合にはもちろん、特定の部門で成果が出ていなかったり、トラブルが発生していたりするようなケースにおいては、組織コンサルが活躍します。
組織内部で抱える問題は、当事者は組織の内部のメンバー同士ということになりますが、内部のメンバーだけでは解決できない課題も少なくありません。そこで、外部の組織コンサルタントが間に入ることによって、問題を俯瞰的に捉え、解決に導くのです。
社内では煮詰まってしまった議題も、組織コンサルタントの参加で良い方向に向かうことが可能です。
組織改革コンサルの主な業務範囲
組織コンサルは、組織開発に関する課題全般の解決を推進するコンサルティングサービスですが、それだけに業務範囲は多岐にわたります。ここでは、組織コンサルタントが担当可能な主な業務範囲を紹介します。
組織の構造改革
組織コンサルが登場する機会としてポピュラーなのが、組織の抜本的な構造改革を必要としているケースです。
現在のビジネスモデルが時代遅れとなり、「今のままではやっていけない」「赤字続きで回復の兆しが見えない」など、会社の力だけではどうにもできない際に、組織コンサルがサポートを提供することでイノベーションを起こすことができます。
「組織の構造改革」も比較的具体性の低いことばですが、一例としては生産性向上に向けた業務フローの刷新などが挙げられます。既存の業務における課題点をブラッシュアップし、何を改善すれば生産性を高められるのか、具体的にどのように施策を進めていけば良いのか、持ち前の知見を生かして指南するのが組織コンサルタントの役割です。
従来、人手が足りなかったり、さらなる生産性を求めたりする場合、新しく人を雇えば解決するというのが一般的でした。しかし、近年は少子高齢化などの影響もあり、人件費が高騰し、新たに人手を確保するためのコストが大きくなりつつあります。
そのため、多くの企業は生産性向上のための人手確保に踏み切れず、それ以外の方法で生産性を高めたり、現場負担を確保したりしなければなりません。組織コンサルに依頼することで、マンパワーへ過度に頼らず、効率的な方法で生産性向上や業務効率化を実現するためのソリューションを期待することができます。
人事制度の構築・刷新
人手不足が進んでいるとはいえ、まったく人を雇わないわけにはいかないことも事実です。組織コンサルは会社の人事制度の構築や刷新にも活躍し、効率的な人事部門の実現や、優秀な人手の確保を促します。
たとえば、評価制度の改革は、人材の流動性が高まる中で重要視されている取り組みの一つです。多くの人材は自身の能力が正しく評価されていないという不満を積もらせ、自分がより輝ける職場を探そうと転職しようとします。
人材の流動性が高まっていることは新しい人材確保に役立つ反面、自社から優秀な人物が流出してしまうリスクにもなります。組織コンサルに人事制度の刷新を依頼すれば、社員を正しく評価し、優秀な人材が輝ける職場づくりを推進することができます。
事業戦略の立案
既存事業や新規事業を問わず、事業戦略の立案を組織コンサルに任せることもできます。
既存事業の収益性改善や、さらなる売り上げの改善、あるいは自社の強みを生かした新しいビジネスモデルの確立など、自社の強みを俯瞰的に評価して提案することが可能です。
社内で話し合っているだけでは、他社と比較した自社の強みや、自社が勝負すべき市場が見えなくなってしまうことも多いものです。そこで外部組織である組織コンサルに依頼することで、自社の市場価値を最大限発揮するための戦略を検討してもらうことができます。
その他業務の効率化
その他、自社で必要としている業務の効率化についても、組織コンサルに相談することができます。自社では気づけていなかった業務上の無駄や、より高い生産性を目指せるヒントを得ることができ、想定以上の業務効率化を期待できるでしょう。
問題があるのは自覚しているけれど、何を改善すれば良いのかわからないという場合に相談に乗ってもらえるのが組織コンサルです。
組織改革コンサルを導入するメリット
組織コンサルの導入によって得られる効果は大きく、企業に多くのメリットをもたらします。ここでは、組織コンサルに依頼するメリットについて解説しましょう。
専門家の意見を組織改革に反映できる
まず注目したいのは、組織コンサルは組織改革のノウハウに特化した専門家であるということです。これまでの経験や典型的なケーススタディをもとに、どうすれば会社経営や組織の改善ができるかについて深い見識があるため、導入企業はさまざまな提案を受けることができるでしょう。
組織が抱える課題は企業によってさまざまですが、組織コンサルに依頼することで、今やるべきことの指南を正しく受けられます。自社だけでは辿り着けなかったソリューションを実践し、効果的な組織改革を実現できるようになるでしょう。
他社の成功例を反映できる
経験豊富な組織コンサルであれば、これまでに受け持ってきた他社の事例をベースにしながら、成功するアプローチを自社でも取り入れてもらうことができます。
人手不足やDX推進など、課題を抱えている企業は複数あるものの、抱えている課題の本質は同じであるケースも少なくありません。そんなときに組織コンサルへ改革を依頼することで、他社で成功した事例を紹介してもらい、自社に導入する上での手助けをしてもらうことができるでしょう。
直近で成功したアプローチであれば、高い確度で自社でも成功が期待できます。
自社にはない客観的な視点を取り入れられる
組織コンサルは専門家の目線であることはもちろん、自社の事業や経営と直接利害関係がない第三者であるため、フラットに議論を交わせることもポイントです。
社内や取引先とのコミュニケーションにおいては、どうしてもお互いの利害が一致することを前提とするため、建設的な議論ができないこともあります。そこで第三者である組織コンサルを議論に混ぜることで、合理的な判断を促せるようになるでしょう。
組織改革コンサルを導入することで実現できる改革
続いては、組織コンサルの導入によって、具体的にどのような改革を進めることができるのか解説していきましょう。
社内のコミュニケーション改善
組織コンサル導入の効果として注目したいのが、社内のコミュニケーション改善です。
チーム内、あるいはチーム間での連携がうまくいかずお互いの意見の相違が深刻化してしまうと、組織が一丸となって成長を達成することが難しくなります。そこで組織コンサルを導入し、お互いの目指すもののすり合わせや抜本的なチーム体制の見直しを行うことで、チーム間の歯車が回るよう促してもらうことが可能です。
社内コミュニケーションの改善は、新しいシステムの導入や人材の確保をしなくとも生産性向上やコスト削減につながることもあるため、決して侮れない取り組みといえます。
人材のスキルアップ
今の会社に必要とされる人材にもとづき、効果的な人材育成を組織コンサルに依頼することができます。
社内人材の育成は、育成能力のある人物やコア業務に取り組む必要のない余剰人材がいなければ、上手く進めることは難しいものです。そこで組織コンサルを導入することで、必要な人材のスキルを見直し、社員の能力や課題に応じたスキルアップの研修カリキュラム作成や研修の実施などを依頼することができます。
ハイテク分野におけるスキル取得など、自社の既存人材では対応できない領域の人材育成も組織コンサルへの依頼で実現が可能でしょう。
組織文化のアップデート
既存の組織文化を解体し、新しい組織へと生まれ変わらせるための文化的な改革も、組織コンサルの領域です。
働き方改革や社内のペーパーレス化、あるいはエンジニア主体のエンジニア組織の確立など、会社の強みは残しつつ、今の時代に合わせた組織文化の醸成に長期的に取り組むことができます。
組織文化の改革は社内だけで取り組むことは至難の業であるため、組織コンサルを積極的に活用すると良いでしょう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)
デジタル化による業務効率化や業務の刷新も、組織コンサルが担当します。
アナログからデジタルへの移行は組織文化を刷新することになるケースも多く、シームレスで速やかな移行を実現するための施策を提案可能です。
組織改革コンサルを活用すべき企業の特徴
では、どのような企業が組織コンサルを活用すべきなのでしょうか?次のような課題を抱えている企業の名で、自社で取り組んでいても改善効果が得られないという場合には、組織コンサルを積極的に活用することをおすすめします。
組織の制度面の改善が進まない企業
一つは人事評価制度や働き方など、制度改革が今ひとつ進まない会社です。
人材を正しく評価したり、長期的に働きたいと思える環境づくりが進まなかったりする会社は、会社としての魅力を損ない、優秀な人材が離れていってしまいます。こういった事態を回避するためには、外部の組織コンサルの力を借りることが最も効果的だといえるでしょう。
組織や人材の成長が進まない企業
必要なスキルを持った人材の育成が進まなかったり、育成のための環境がなかなか整わなかったりする場合も、組織コンサルを利用するタイミングだといえます。
人材育成や育成システムの構築をアウトソーシングするような感覚で、組織コンサルを活用すると良いでしょう。
組織改革コンサル会社を選ぶ際に注意したいポイント
組織コンサル会社選びに悩んでいる場合、次のポイントを押さえて候補会社を選定することをおすすめします。
自社の課題にあった解決能力を持つ会社を選ぶ
まずは、自社の課題を解決してくれる能力を持った会社を選ぶことが大切です。
組織コンサルは、会社によって得意とする領域が異なるものです。DXに強みを持っていたり、人事制度に強みを持っていたりとバリエーションは豊富です。そのため、まずは自社の優先課題を洗い出した上で依頼すべき会社をリストアップしましょう。
コンサル実績の豊富な会社を選ぶ
単純に組織コンサルとしての実績が豊富だったり、業界経験が長かったりする会社も安心して依頼できる指標として役に立つでしょう。
どれだけノウハウがあっても、実際の業界経験に勝る実績はないため、経験が豊かな会社ほど優れていると考えて良いといえます。
データ活用やデジタル活用のノウハウがある会社を選ぶ
DXやデジタルを活用した働き方改革を検討している場合、データ活用やデジタル活用のノウハウが豊富な会社を選ぶと良いでしょう。
組織改革は一見すると文科系の領域の業務ですが、社会のデジタル化が進む今日においては、デジタル分野の知見が豊富な会社が非常に頼りになります。DXやエンジニア組織の確立を課題と感じている企業も多く、デジタル化によって組織課題の多くを解決できる気配がある場合、こういった領域に強い会社を探すことをおすすめします。
組織改革コンサルを活用する際に注意すべき点
組織コンサルへの依頼は多くのメリットを期待できる反面、事前に気をつけておくべき懸念点もあります。最後に、組織コンサルを活用する際に注意すべき点について解説します。
費用対効果を熟慮する必要がある
組織コンサルへ依頼する際は、社内であらかじめどれくらいの予算をかけられるのか話し合っておく必要があります。
実施するプロジェクトにもよりますが、場合によっては期待していたような費用対効果が得られず、組織の再編までは至らなかったということにもなりかねません。優先して対処すべき課題を社内で検討の上、組織コンサルタントにも相談しながら、自社の予算で最も大きなリターンを得られる施策を実行しましょう。
自社にあったコンサル会社選びに時間がかかる
一口に「組織コンサル」とはいっても、国内にはさまざまな会社があります。自社に合った組織コンサルに依頼できないと、期待していたような効果を得ることができません。
多少時間がかかっても、自社で求めている解決能力を持っていたり、費用面で許容できたりする会社を丁寧に選ぶことをおすすめします。
まとめ
組織改革コンサルの役割や導入することで得られるメリット、そして組織コンサル会社選びのポイントなどについて紹介しました。
あらゆる領域の企業で競争が加速し、今や国内企業だけでなく、国外企業との市場競争にさらされる中では、従来の事業経営のあり方では限界が出てきてしまうことも少なくありません。そんなときに組織コンサルに事業や組織の改革を相談することで、これまでは得られなかった知見や視点から、会社のなる成長や市場競争での勝ち残りのチャンスを得られやすくなります。
自社の課題解決がなかなか進まず悩んでいるという場合には、積極的に組織コンサルを活用することを検討してみてください。
当社株式会社グロースウェルでも、企業課題の解決に悩む経営者の方に向けて、組織コンサルのサービスを提供しています。
組織や事業へのブレークスルー(圧倒的な成長)を起こして社会に貢献することをコンセプトとするグロースウェルでは、これまでも数多くの企業支援に携わってきました。国境を問わないマーケット感覚と豊富な知識と経験を活かし、クライアント企業への驚きのイノベーションを提供します。
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DX推進は多くの企業で求められている取り組みですが、DXを進めるためにはデジタル施策を推進できるエンジニアを取りまとめたり、施策に関する意思決定をできたりする人物が欠かせません。データ活用に積極的な企業への生まれ変えたり、エンジニア組織として成長させたりすることをご検討の際には、お気軽にグロースウェルまでお問い合わせください。