100社以上の新規事業立ち上げを支援して分かったプロダクト開発のポイント
昨今、ITを絡めないビジネスモデルやビシネスというのは皆無に等しいと言ってもよいほどITサービス開発が盛んに行われています。
昨今では、ChatGPT、Github Copilotを始めとするジェネレーティブAIの登場によりソフトウェア開発の敷居が益々下がり、より多くのプロダクトが世に出ていくことになるのではないかと思っています。
しかし、プロダクトを作ろうとしている人の最も重要な関心事は「プロダクトが容易に開発できること」ではなく「どうやったらプロダクトがビジネス的に成功する」のかということではないでしょうか?
ChatGPTに聞けば、ある程度プロダクトアイデアの壁打ちなどをしてくれますので、プロダクトの品質がこれまで以上に練られていく事とは思いますが、やはり、プロダクトの成功の可否というのはChatGPTでは読みきれない部分が大きなウェイトを占めていると感じます。
今回は、これまで100社以上の新規立ち上げを支援してきた経験及び自分自身もIPOした会社にCTOとして在籍した経験から、プロダクト成功のポイントについて解説していきたいと思います。
プロダクトにおける重要なポイント
私がクライアント企業様のプロダクト開発においてまず最初にチェックにするのは以下のポイントです。
・時流に沿っているか?
・利用者が恋に落ちるか?
時流に沿っているか?
まずひとつ目の「時流に沿っているか」ですが
これは過去の事例を振り返ってみるとわかりやすいです。
たとえば、今からmixiと似たようなSNSを開発するとしてうまくいくでしょうか?
おそらく大体の人が、「難しい」と感じるのではないかと思います。
今となってはブームが過ぎ去ってしまったmixiですが
2006年前後にはYahoo!Japanに次ぐ、日本国内で第2位の利用ドメインとしてその名を馳せていました。(当時Facebookも日本に来ていましたが、世間的にはmixiから置き換わることはほぼ無いと言われるほどmixiへの熱量は凄まじかったのです)
当時の雰囲気を思い出して見ると、2000年頃からブロードバンドが始まり、ネットユーザーが伸び、ブログが流行り、インターネット上で会話をすることが当たり前になり、莫大なユーザーがインターネットに流れ込み初めていたのではないかと思います。
そういった、「ネット上で人と繋がりたい」というこれまで人々が体験したことのないニーズを掴んだことがmixiが大成功した要因なのではないかと思います。
言い換えると、今作ろうとしているプロダクトが、今世の中がどのような社会情勢となっていて、人々がどのような潜在的なニーズを解決しようとしているのか、これにピンと来る、イメージできるものでなければ、成功はかなり難しい、ということなのです。
利用者が恋に落ちるか?
次に「利用者が恋に落ちるか?」
ですが、これは先程のチェックをパスした後に見ていく項目です。
再度、先程のmixiの例を取って考えてみましょう。
mixiが生まれた当初、ライバルとしてFacebookの存在がその当時から囁かれいましたが、日本ではmixiが優勢であり、日本人がFacebookを選ぶということは考えれないと言われていました。
当時、mixiが大きくシェアを伸ばした理由として以下の機能が大きかったと言われています。
・Facebookが実名制だったが、mixiはニックネームで登録ができた。
→当時の日本ではまだ実名をネットに晒すことに非常に強い抵抗感があった
・足あと機能というもので、誰が自分のプロフ/記事を見てくれたかが可視化されていた
→アクセスログのような数字ではなく、「人」が見ていることを感じさせる機能だったため、ユーザーの利用時間が伸びた
つまり、マーケットニーズを捉えていても、更にそこから利用者の属性/好き嫌いを前提としてそのプロダクトを「使いたいと思うか」「使われ続けるか」という点をクリアする必要があるのです。
もし、当時のmixiが、実名制を必須にしていたり、足あと機能がなかったらおそらくあそこまで大きくシェアを伸ばしてはいなかっただろうと思います。
(ちなみに、「足あと機能」はユーザーから強い要望があったものの、その機能を廃止してしまったが故に大量のユーザー流出を招くことになりました)
つまり、そのプロダクトを使うユーザーが「まさにこういうのを求めていた!」と一目惚れするような機能を想定して作っているか、そういった観点をプロダクトに盛り込んでいるかが、非常に大切になってくるのです。
最後に
長々とお話をしましたが、もちろん言うは易し、行うは難し。
プロダクトを作っている立場になるとどうしても視点がプロダクト寄りになってしまい
「プロダクトさえあればユーザーはついてくる」
「良いUI/UXを提供すればユーザーはついてくる」
とプロダクトの質に寄りがちになり、中々適正な判断が下せないのも事実です。
そういった際には、外部のパートナーや私のようなスポットCTOに一度フィードバックを仰ぐと良いかと思います。
社内のメンバーや提携先の企業ですと、やはりネガティブなことを言いづらく忖度が働いてしまい、耳障りの良い事しか言われずに、判断を誤りがちです。
継続的な利害関係に無い人間に聞いてみるのが良いかと思います。
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